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士別からの使者

前回、「最近、家族以外の人と話したことありません」と言った、真剣に頑張っていた生徒Sくんの話です。

彼は士別から通っていました。これまで、それほど多くはない地方から来ている生徒の一人でした。車で旭川から1時間ほどでしょうか。

S君は地元の学校では5本の指に入る成績でした。ですが、地元から国公立大学を目指す生徒がまったくおらず、それがプレッシャーだったのだと思います。毎週末や祝日には我々のところまで来て必死になって勉強し、士別まで帰っていきました。その本人の努力もさることながら、送迎をするお父様のご苦労を思うと、身の引き締まる思いでした。

地方の子供の減少は凄まじく、教育産業の衰退もひどいものがあります。撤退した同業他社の話もよく聞きます。士別だけでなく人口減少が激しい地域では、教育水準を維持するのもかなり大変です。その生徒も国公立大学に入りたいものの、どうして良いか分からず、助けを求める形でここまで来たようです。

毎週、送迎してくれる父の思いに報いるためだったのでしょうか、彼の勉強の姿勢には敬服させられることが多かったです。映像授業も早めに終え、教室では疑問点やコツを聞き、模試でも頭角を表すようになりました。当初は小樽商科大学を目指していたのですが、次第に成績が上がり続け、北海道大学も受験可能な圏内まで上がっていきました。我々もS君の快進撃に大喜びでした。

結果は、北海道大学の共通テスト(センター入試)の合格ボーダーラインのわずか下ぐらいでした。浪人は考えたくないということで、挑戦を避け、最終的には小樽商科大学に余裕で合格しました。お父さんにこれ以上、迷惑をかけたくないと思ったのかもしれません。分かりませんが…。

多分、あくまでも個人的な意見ですが、地元の友達と仲良くし勉強していたら競争意識も湧かないし、ここまでの成績は出せなかったと思います。彼は高校1年には我々の塾に入ることを決め、ひたすら合格を目指して取り組んできました。それが功をなしたのだと思います。本当に記憶に残る生徒でした。

後日談ですが、北海道マラソンのボランティアにS君の姿を見たというスタッフがいました。何人かの大学の友人と笑いながら、楽しそうにしていたそうです。それを聞いて、何だかほっこりした気分になりました。

ちょっと思い出したので、書いてみました。受験生の皆さん、大変だけど、もう少しだから頑張りましょうね。